コレステロールが高いのは食事のせいだと思ってませんか?
コレステロールは80%が肝臓で合成されますので食事の影響は20%程度しかありません。それではなぜコレステロールは上がったり下がったりするのでしょうか?
この記事ではコレステロールが上がる理由について解説します。
目次
コレステロールはなぜ高くなるのか?
自分は痩せているのになぜかコレステロールが高い・・・と悩んでいる人が多くいます。少なくともネット上の質問サイトでは、そういった疑問が数多く寄せられています。
痩せているとか肥満だからといってコレステロールの値が上下する理由はありません。
コレステロールの働き
それではコレステロールってどんな働きをするのでしょうか?
コルチゾールの前駆物質
手術や競技スポーツなどで副腎皮質ホルモンのコルチゾールは正常値の2倍から10倍の濃度上昇を示す。コルチゾールの上昇は肝臓のコレステロール産生を促進する。
女性および男性ホルモンの前駆物質
性ホルモンの前駆物質である。総コレステロール200mg/dl以下では男女の活力の減退、肉体能力の低下、骨格の不具合、睡眠障害をきたす。コレステロール低下薬により男性では勃起障害をきたす。
アルドステロンの前駆物質
コレステロールが低いとミネラル代謝障害をきたす可能性がある
胆汁酸の前駆物質
胆汁酸は脂肪の消化吸収を調整している。また便の排泄にも関与している。
コレステロールが少ないと胆汁酸の合成が低下し便秘となる。
ビタミンDの前駆物質
ビタミンDは皮下にあるコレステロールが光照射によって活性のある7-ヒドロコレステロールに変化したものである。
ビタミンD不足は骨のカルシウム欠乏、すなわち骨粗鬆症やクル病を引き起こす。コレステロール低下によってビタミンD合成が抑えられる。
細胞膜・ミトコンドリア膜の構成成分
コレステロールは細胞膜の流動性を調節している。
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【コレステロールの嘘】コレステロールは細胞膜のコーディネーター
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コレステロールの合成
コレステロールは肝臓で合成されます。食事からの影響は20%程度です。
アセチルCoA→HMGーCoA→メバロン酸→活性イソプレン→多段階反応→コレステロール
スタチンはHMGーCoAからメバロン酸への反応をつかさどるHMGーCoAレダクターゼを阻害する。コレステロールの合成を元からブロックする。
活性イソプレンからはビタミンA、ビタミンK、ビタミンD、コレステロール、胆汁酸、ユビキノン、ステロイドホルモン、スクワレンなどが作られる。

「代謝」がわかれば身体がわかる(光文社新書)
コレステロールが上下する原因
コレステロール値の変動はコレステロールから生成されているホルモンの需要度によって決まる(「コレステロールの欺瞞」より)
- 重度な肉体負荷で上昇(コルチゾールの前駆物質であるコレステロールの需要が2倍から10倍へ増加する)
- 年齢によってコレステロール値は上昇するが60歳からはやや下降する
- 心身のストレスで上昇
- あらゆる種類の疾患で上昇
- 逆に飢餓、肝硬変、慢性的消耗疾患では下がる
- 食事によるコレステロール値の変動は僅かである。しかも肝臓における合成の増減で10時間から12時間で調整される。
- 食品のコレステロール含有量はコレステロール値に何の役割も演じない。せいぜい2%程度。
まとめ
- 血液検査でコレステロールが上下して一喜一憂する必要はありません。
- 食事の影響は無視できます。最大でもせいぜい20%程度です。
- コレステロールが高いときは身体がコレステロールを必要としています。 あえてコレステロールを下げようなどと思うのは馬鹿げたことです。
- 運動して痩せた人は肉体負荷でコレステロールが上昇した可能性がありますが、それはそれで問題ありません。