コレステロール=悪玉論の始まりは20世紀初頭にロシア人科学者が行ったウサギの実験に由来します。その後約1世紀にわたりコレステロール妄想から製薬会社のマーケティングで莫大なお金がコレステロールを下げるために浪費されました。
この記事では、ワルター・ハルテンバッハ博士著「コレステロールの欺瞞」からコレステロール妄想の発端となったウサギの実験について解説します。
夢物語であったウサギの実験とは?
1913年頃にサンクトペテルブルクのロシア人研究者ニコライ・アニチコフが草食動物であるウサギに対してコレステロール豊富な脂肪食(タマゴと言われてます)を大量に与えました。ウサギを解剖すると動脈壁にかなりの脂肪が蓄積していたという報告です。
このロシア人の報告はその当時まったく話題になってませんでした。
その他にも動物実験が行われていますが、検証された動物は例外なく草食動物でした。
ウサギのコレステロール値
家ウサギのコレステロール値は通常45mg/dlですが、実験ではコレステロール値が1200mg/dlにも上昇するまでコレステロールが与えられてます。この数値は人間に当てはめると7000mg/dlに相当します。
ウサギの場合は過剰なコレステロール値の上昇により、まず初めにいろいろな器官へのコレステロール沈着が観察されてます。
その後最終段階になって初めて血管壁への沈着がありました。
しかし、これはすべての血管に分布していて、動脈硬化症でいわれているような部分的に限局した沈着ではありませんでした。
ウサギの実験を人間に当てはめることはできない
- そもそも草食動物であるウサギを使っている点
- これは人間の動脈硬化とは全く関係がない
- 人間の動脈硬化は、結合組織様の硬化を伴い細胞性の血管内膜増殖を特徴とし、コレステロール沈着は、せいぜい1%である。
- しかしこの実験は「反コレステロールマフィア」によって利用されつづけてきた。
- 特にタマゴを使った実験であったため、タマゴ=コレステロール上昇という悪いイメージが広まった。
- その後の人間における実験でタマゴを多くたべても血中コレステロールに変化がない事が相次いで報告された。