質問サイトを覗いていると以下のような書き込みをしばしば見つけます。
はてな
果たして野菜を食べるとコレステロールは低下するのでしょうか?
結論
✅ 野菜を食べることで10%程度コレステロールが下がる可能性があります。
✅ ただし、コレステロールを下げても病気を予防するわけではなく、意味はありません
野菜を食べるとコレステロールが下がるという論の根拠
どうして野菜を食べるとコレステロールが下がるのでしょうか?別に野菜が健康的で、コレステロールが高いことが不健康であるからではありません。
色々と理由を挙げている論文もありますが・・・胆汁酸循環を阻害するからというのが納得できる理由だと思います。
コレステロールは肝臓で胆汁酸として腸管に排出され小腸で再吸収されてリサイクルされ再びコレステロールに合成されます。
ポイント
食物繊維をとると胆汁酸は吸収されずに便として排出される。これにより肝臓に戻る胆汁酸が減ってしまうためLDLコレステロールが減る。
まともな論拠としては上記のみです。その他色々と理由を挙げているサイトは多くありますが、全く意味不明ですので省略します。
食物繊維を食べるとコレステロールは下がるのか?
1999年栄養学雑誌において斎藤は約200件の論文をレヴューし次のように述べています
食物繊維の摂取で得られる総コレステロールの低下効果は、水溶性の食物繊維の量を増加させても15%程度まで、通常は10%程度までのようであり、総コレステロールよりもLDLコレステロールの方が低下しやすく・・・
水溶性食物繊維約9g/日が高脂血症者で有意に総コレステロールレベルおよびLDLコレステロールレベルの改善効果が得られる摂取量と考えられる。
(斎藤衛郎 食物繊維の摂取レベルとヒト高コレステロール血症の改善効果 1999)
水溶性食物繊維がコレステロールを低下させるメカニズムについては、やはり胆汁酸排泄の促進を1番に挙げてます。
それでは胆汁酸トランスポーター阻害薬はコレステロールを下げるのか?
胆汁酸トランスポーター阻害薬という薬は小腸での胆汁酸の再吸収を阻害することによって大腸管腔内の水分分泌や消化管運動を促進させることで便秘を改善する薬です。
https://yakuzaic.com/archives/104657 薬の勉強 薬剤師のブログ より
肝臓でコレステロールから合成された胆汁酸は胆汁の主な成分として胆嚢や胆管を経て十二指腸に分泌されるが、その多くは小腸で再吸収され肝臓に戻る腸肝循環が行われている。再吸収されなかった胆汁酸は大腸管腔内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させる作用などをあらわす。
グーフィスは胆汁酸の再吸収阻害作用を有することから、排泄された胆汁酸を補充するために、コレステロールから胆汁酸合成が促進され、その結果、LDLコレステロール濃度が低下し、脂質関連の検査値に影響を及ぼすのではないかという懸念がある。
こうした点について、エロビキシバットの承認審査報告書では、国内第3相臨床試験でLDLコレステロールは10%程度低下したが、「臨床的に問題となる可能性は低い」との見解を示している。
インタビューフォームでも、副作用発現の項目にコレステロールに関する臨床検査値の報告はないことから、同薬がコレステロールに及ぼす影響は、許容範囲であることが推測される。
やはり野菜と同様に胆汁酸の吸収を阻害することによって10%程度のコレステロール低下作用があるようです。
確かに野菜を食べることでコレステロールは10%程度下がる
コレステロールは肝臓で80%が合成されており、食事性コレステロールは20%と言われています。野菜を食べることで胆汁酸循環を阻害することになり肝臓での胆汁酸合成が増加することにより、その原料となるコレステロールが消費されるという考えです。
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しかし、コレステロール低下作用は10%程度でのようです。結局胆汁酸からの再利用が減ってコレステロール消費が増加したとしても、新たに肝臓にてコレステロールの合成を増加させているものと思われます。
しかしコレステロールを下げると発がん率が上昇する
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1960年から1970年代にかけて食事療法でコレステロールを下げる介入試験がいくつか行われてますが、動物性脂肪を減らして植物性不飽和脂肪酸が多い食事に変えると、コレステロルは低下しますが、死亡率にはほぼ差がなく、癌の発生が高まる疑いがあります。
結論
野菜を食べることで10%程度コレステロールは下がるようです。しかしコレステロールは低い方がさまざまな疾患を引き起こします。野菜を食べてコレステロールを下げる意味はありません。
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