コレステロールが人体に悪い!という間違った考えはいつからはじまったのでしょうか?
この記事ではコレステロール論争の歴史についてまとめてみました。
「心臓病ウサギモデル」
- 1900年頃にサンクトペテルブルクのロシア人研究者ニコライ・アニチコフが
- 草食動物である!ウサギに対してコレステロール豊富な脂肪食を大量に与えた。
- ウサギを解剖すると動脈壁にかなりの脂肪が蓄積していた。
- この報告は当時はまったく知られていなかったが、第二次世界大戦後に発掘された。
戦後の米国における健康に対する関心
- 1930年代にコレステロールを簡単に測定できる技術が開発された。
- 菜食主義者らはコレステロールを典型的な動物性分子とみなして攻撃した。
- しかし、粥状動脈硬化症の患者の血中コレステロール値は健康な人々のそれと比較して高いことは証明できなかった。
- その他にもコレステロール値と動脈硬化症の関連がない事の報告が相次いだ。
- シカゴの生化学者アンセル・キーズが梗塞とコレステロールの撲滅運動を開始。動物性脂肪を攻撃しはじめる。
フラミンガム研究と悪玉コレステロール
- 女性と50歳以上の男性ではコレステロール値と梗塞の関連性はなし。
- コレステロールが低いと寿命が短かった。
- 「脂肪がコレステロール値を高め、これによって梗塞のリスクが高まる」という当初の仮説は検証できなかった。
- 研究者はこの結果について触れなかった(無視した)。
- そのため新しいテクニックとしてLDLコレステロールとHDLコレステロールが誕生した。
- そしてHDLが高いことが梗塞のリスクを下げることを証明した。
- こうしてコレステロールに悪玉(LDL)と善玉(HDL)があるという人為的な学説が登場した。
七カ国スタディ
- 1955年にアンセル・キーズが始めた疫学研究
- 目的はコレステロールと動物性飽和脂肪酸の有罪性の仮説を証明すること
- 米国、フィンランド、オランダ、イタリア、ギリシア、ユーゴスラビア、日本が対象
- 国によってコレステロール値と心血管系死亡率の関係に大きな差があった。
- 米国とフィンランドでは相関あり、他の集団ではなし。特に日本ではまったく関係なし。
- 対象とする集団が恣意的に選択されているためバイアスがかかっていると当時激しく非難された。
- 七カ国スタディは地中海食を明確に定義し、この食事法を地中海諸国の人々が心筋梗塞に「免疫」がある理由として説明した最初の科学的研究である。
MRFIT(多危険因子介入試験)
- 1973年に開始
- 36万人の中年アメリカ人を対象にコレステロール検査を行い、コレステロール値が高い1万2000人を選択。
- これを二つのGroupに分けた。一方のGroupは自分で健康管理をする。もう一方のGroupは禁煙、降圧薬内服、脂肪やコレステロールが少ない食餌療法を行った。
- 7年間の観察で両群間に差がなかった。
- 死亡症例は介入したGroupに多かった。
ロサンゼルス食餌療法試験
- 1969年に発表
- 無作為に割り付けされた2群(対照群と動物性脂肪を減らした実験群)
- 実験群ではコレステロールが13%低下した。
- 総死亡率は同じ、癌の発生が動物性脂肪を減らした実験群で上昇!
- コレステロールが減っても死亡率に差は無い。逆に癌が増える。
- しかも実験群では平均体重が著しく増えた。
- オメガ6系脂肪酸が癌の原因?
最後の栄養介入試験
- 心疾患発症二次予防に関する3つの研究
- 食餌療法で動物性飽和脂肪を大幅に減らし、その代わりに植物性不飽和脂肪を加えた群と対照群の比較
- 1970年オスロ
- 1968年ロンドン
- 1978年シドニー
- コレステロールは15−20%低下した。
- しかし、心疾患による死亡率は同じか逆に悪化した。
- 不都合な結果であったため発表も伏せられたり、黙殺された。
まとめ
食品業界がスポンサーの時代の臨床試験をまとめました。
動物性脂肪を減らして植物性不飽和脂肪酸が多い食事に変えると、コレステロルは低下しますが、死亡率にはほぼ差がなく、癌の発生が高まる疑いがあります。
この結果は食品業界にとって不都合な真実であるためほとんど無視されました。
コレステロール論争の歴史2へ続きます
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【コレステロールの嘘】コレステロール論争の歴史 まとめ2 第2のオスロ研究
前回に引き続いてコレステロールに関連する臨床試験のまとめ第2弾です。 第一弾は↓です。 コレステロール論争の歴史 まとめ1 結論としてはコレステロールは心血管系疾患の発症になんの関係もありませんでした ...
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