なかなか衝撃的な本であった。
著者は女性で若そうである。コウモリの研究をしていてマレーシアにいたときにダニに咬まれたのが原因で生死をさまよった。その後大量の抗生物質を投与されてなんとか生還したが、その後腸内細菌叢の変化によると思われる数々の症状に悩まされることになる。
ニワムシクイという小鳥のはなしが興味深い
あなたの身体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れ始めた:アランナ・コリン 著
ニワムシクイは長距離の旅に出る前に体重が2週間ほどで17gから37gになる
前日まで昆虫を食べていたのに、その日から液果類やイチジクを食べ始める
アフリカの越冬地に着いた頃には元の体重に戻っている
しかし、かごの中の飼われているニワムシクイも体重を増やして肥満体になるが、野生のニワムシクイが越冬地に着く頃に体重を元に戻す。
鶏の体内でどんな調節作用が働いているのかは不明であるが、摂取するカロリーだけで体重が決まるわけではないことは明白だ。入ってくるカロリーと出て行くカロリーが同じなら維持されるというような単純なものではない。
その他著者の主張の抜粋
あなたの腸には100兆個の微生物がいるヨーグルト1カップにはせいぜい100億個だ。ゼロが4つ足りない→意味がない
自閉症の原因が腸内細菌にある!
戦後になって伝染するように増えてきている肥満症の原因として腸内細菌叢の異常が関係しているかも
アレルギーを説明する衛生仮説はだめ(清潔すぎる環境がアレルギーを生むという仮説)
帝王切開だと乳児は母親の腟内細菌や会陰部の細菌を受けとることができない。そのため21世紀病を患う遠因になる。
母乳には腸内細菌が含まれている。樹状細胞が腸内細菌を乳線へと運んでいる
母乳にはオリゴ糖が含まれていて、腸内細菌の餌となる
糞便移植でクロストリジウムディフィシル感染症が治る、過敏性腸症候群も改善する!しかし患者は希望しているが医師のほうが乗り気ではないことが多い。Youtubeでは自分でする方法が紹介されている。
糞便バンクのドナーの要件はきびしい!過去に抗生物質を使った場合や海外旅行へいったりしたらだめ。ドナーは骨髄移植よりも対象者が少ない。50人に1人?
食物繊維は大事だ。なぜなら腸内細菌の餌になるから!
人類はもともと草食動物であり、現在は雑食になった。(と述べているが、これは明らかな間違い)
4世紀の中国で糞便食で病気を治していたという記録がある。
動物は「食糞」を下痢がおこるたびに本能的にしている。
腸内細菌叢を維持するために食物繊維が必要という記載があるが、食物繊維を食べなかったら腸内細菌がいなくなるわけではない。
そこには論理の飛躍があるように感じた。
食事内容で腸内細菌叢は容易に変化するようだ。