【コレステロールの嘘】バイオックス事件以前の怪しい臨床試験

2020年10月18日

バイオックス事件前は製薬会社はやりたい放題でした。そのため1990年代から2005年の臨床試験を根拠にスタチンの効果を論ずることは慎重であるべきです。

この記事ではバイオックス事件以前の臨床試験について解説します。

4S試験(1994年)

  • 1994年Lancetに掲載
  • シンバスタチン(メルク社)が心臓病患者において心臓関連死(二次予防)を30%減らすという驚異的な予防効果を発表。
  • シンバスタチンはコレステロール値を25%減少させる。
  • 総死亡率は30%も!低下、冠動脈疾患による死亡率は42%低下した。
  • しかし同時期に行われた別の二次予防の臨床試験(CARE試験、LIPID試験)では4Sとは矛盾した結果であった。
  • さらに同時期に行われた一次予防の臨床試験(WOSCOPS試験、AFCAPS試験)はどちらもネガティブな結果で終わった。

IDEAL試験(2005年)

  • ファイザー社が企画 自社のアトルバスタチンとメルク社のシンバスタチンを比較するという研究
  • アトルバスタチン(ファイザー社)はシンバスタチン(メルク社)より30%コレステロール値を低下させたが、死亡率の差は両群間でなかった。

TNT試験(2005年)・ALLIANCE試験

  • ファイザー社が企画
  • アトルバスタチンでLDLコレステロールは低下したが、死亡率は変わらず。

ALLHAT試験(2002年)

  • 高血圧患者に対する一次予防に関する試験
  • 17%のコレステロール低下にもかかわらず予防効果なし

ASCOT試験(2003年)

  • 高血圧患者に対する一次予防に関する試験
  • 20%のコレステロール低下
  • 予防効果が並外れて高かったので5年の予定を3年で終了!!
  • しかし死亡率は有意に減っていないため試験早期終了は正当化されない。
  • またカルシウムブロッカーとの併用による相互作用が指摘されている。

HPS試験(2002年)

  • メルク社 
  • シンバスタチンと抗酸化剤の併用で死亡率が低下するかテスト
  • 5000人以上の群を4つ作成して比較した 複雑な試験
  • スタチンは死亡率を13%減少させるだろうという結論

まとめ

バイオックス事件に始まった臨床試験は巨大製薬会社があからさまに関与しているものばかりです。

当然信憑性に疑問がある。それでもスタチン投与で死亡率が減少したと報告したのは4S試験とHPS試験のみ。

死亡症例はごまかせないが、心臓疾患が発症したか否かは医師の判断が入ってくるため信憑性に疑問が常に残ります。

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