ビタミンKは脂溶性ビタミン(ADEK)の一つです。でもビタミンAからEまではある程度よく知られていてサプリもよく見かけますが、ビタミンKってあまり聞かないし、見かけなくないですか?
この記事ではビタミンKのちょっと変わった働きを中心に説明します。
ビタミンKは過剰摂取に注意?
ビタミンKには細かく分類するとK1からK5まで5種類が知られています。
でも、主なものはビタミンK1とK2です。この二つを覚えましょう。
ビタミンKの作用は?
- 血液凝固:血液凝固に係わる生多くの因子がビタミンK依存性タンパク質です。そのためビタミンKは正常な血液凝固に必須となります。
- 骨代謝:ビタミンK2が骨粗鬆症の治療薬として利用されている。
ビタミンKが多く含まれている食品
1食分で計算すると
モロヘイヤ(1/4束、384µg)納豆(1パック、300µg)小松菜(1/4束、200µg)ほうれん草(1/4束、162µg)などの順に多くなってます。
100g当たりで計算すると・・・
ビタミンK1が多い食品
シソ(1007µg)、春菊(茹で、627µg)、ほうれん草(茹で、525µg)、小松菜(茹で、425µg)、ブロッコリー(生、307µg)、大豆油(234µg)
ビタミンK2(MK-4)が多い食品
鶏卵(黄身、64µg)、鶏(もも、27µg)、バター(21µg)、マヨネーズ(197µg)
ビタミンK2(MK-7)が多い食品
納豆(939µg)
納豆菌はビタミンKを生成しておりビタミンKの含有量が高い。
ビタミンKが不足する欠乏症とは!
ビタミンK欠乏症とその症状
- 動脈硬化;ビタミンK2は摂取量と石灰化抑制に関連が認められるという報告やビタミンK1とビタミンDを3年間投与すると血管の弾力性が維持されるという報告がある。
- ビタミンK欠乏性出血:ビタミンKは新生児期に特に欠乏しやすい。その理由として、新生児の腸内細菌叢が未熟であること、胎盤移行性が悪いこと、母乳中のビタミンKの含有量に個人差が大きいことなどが原因と言われています。
- 新生児・乳児のビタミンK欠乏性頭蓋内出血
- 新生児・乳児の腸内出血
厚生労働省は、ビタミンKの欠乏に陥りやすい新生児には、出生直後1ヶ月以内に計3回ビタミンKを経口投与するよう、強く指導している。
ビタミンKの食事摂取基準は?
150ug/日 通常の食生活で充分に摂取されていれば欠乏症に陥ることはほとんどないといわれています。
ビタミンK1とビタミンK2については副作用の報告がなく耐容上限量は設定されていません。
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では、250-300µgの摂取を推奨しています。
ビタミンKと腸内細菌
腸内細菌がビタミンKを作ります。しかしヒトは腸内細菌が作るビタミンKを十分吸収することは難しいため、腸内細菌由来のビタミンKだけでは不足します。
ビタミンKで注意する疾患
ワルファリンを飲んでいる
ワルファリンは血液凝固を抑制する薬で血栓ができやすい患者さんに投与します。
一方ビタミンKはワルファリンの作用と拮抗します。
ワルファリンを飲んでいる患者さんはビタミンKは禁忌ですので注意が必要です。
ということは、ビタミンKが多く含まれている納豆も食べるべきではありません。
脂質異常症
高コレステロール血症・脂質異常症と診断されてスタチンというコレステロール低下薬を飲んでいる人は要注意です。
スタチンはビタミンK2の合成を阻害して動脈石灰化を促進すると言われています。
(日本脂質栄養学会: 動硬 理事長への手紙より)
ビタミンKに過剰症はない
経口摂取で副作用は知られておらず、食事摂取基準において許容上限摂取量は設定されていない。
ワルファリンを飲んでいる患者さん以外はビタミンKの過剰摂取を気にする必要はありません。
ビタミンDを大量に摂取する人
ビタミンDを10000IU以上大量摂取したいという場合には、ビタミンKの摂取が必須です。
ビタミンDを大量摂取すると、その分ビタミンKが消費され不足する。
ビタミンKと組み合わせた錠剤をとる、ビタミンD10000IU+ビタミンK2を100~200mcgとる、あるいはビタミンKが豊富な納豆を1日1パック食べるのでも良いでしょう。(藤川先生のブログより)
ビタミンDについてはこちらをご参照ください→ ビタミンD:欠乏症と過剰症