コレステロール低下薬であるスタチンは脳血管疾患(いわゆる脳卒中)や糖尿病患者の死亡率を下げるのか?という試験がバイオックス事件の前後で行われました。
この記事ではスタチン投与による各疾患の病態改善効果に関する臨床試験について解説します。
スタチンと脳血管障害:SPARCL試験
- 脳血管障害のリスクにおけるスタチンの効果とコレステロール低下について企画された試験
- ファイザー社が企画した。
- 80mgのアトルバスタチン(リピトール)でコレステロールを強力に下げれば脳血管障害既往患者の再発リスクを下げられるか?
- 30%のコレステロール値減少を認めたが、臨床結果はネガティブだった。
- 脳血管障害リスクの減少を目的とした、コレステロール低下とスタチンの処方を裏付ける、確固たる科学的データーはない。
スタチンと糖尿病:CARD試験、4D試験、ASPEN試験
仮説:糖尿病患者は梗塞と心臓病リスクが高いので、コレステロールを低下させることは有益であるはずである!
CARDS試験(2004年)
- スポンサーはファイザー社でバイオックス事件前に行われた。
- 3000人の糖尿病患者をアトルバスタチン投与群とプラシーボ群に割り付けた。
- コレステロールは26%低下、冠動脈疾患は36%低下して有効と発表された。
- しかし、死亡率に対する効果は有意でなかった。
- もともとの計画よりも前に試験が終了した。
- 重大な問題があったにもかかわらず、世界中で糖尿病患者に対してスタチンが自動的に処方されるようになった。
4D試験(2005年)
- 糖尿病で透析が必要な患者を対象
- アトルバスタチン20mgによるコレステロール低下が心血管疾患のリスクを下げるのに有効か?を調査した。
- 血液透析を受けている患者でコレステロール値が非常に高いことは稀であるが・・・
- 「コレステロール値は低ければ低いほどいい」という理論により行われた。
- この試験はバイオックス事件後に行われた(信頼性がある)
- CARDS試験とは対照的にスタチン(もしくはコレステロール低下)は糖尿病患者に対する心血管疾患の予防効果はなかった。
ASPEN試験(2006年)
- 2型糖尿病患者におけるアトルバスタチンの冠動脈疾患予防効果の研究
- この試験もバイオックス事件後に行われた(信頼性がある)
- 二群間にまったく臨床的差異(合併症の頻度)を認めなかった。特に死亡率は両群ともまったく同じであった。
- 二つの試験とも完全にネガティブであった。
- これによってスタチンが糖尿病患者になにももたらさないことが明確にされた。
しかし、このような結果が出たにもかかわらず研究者は「糖尿病患者の大部分は抗コレステロール薬による治療が必要である」という公式勧告を否定する結果ではなかったと主張したのです。
スタチンと心不全:CORONA試験(2007年)
- 60歳以上の心不全患者5000人以上を対象
- 無作為にプラシーボとスタチンの服用が割り付けられた
- 45%近いLDLコレステロールの低下を認めた
- しかし合併症、心臓死、突然死、心不全の悪化、総死亡数で両群に差がなかった。
- コレステロール低下=スタチン投与が患者にまったく有益な効果を生み出さなかった。
- CORONA試験は明確に心不全患者にスタチンを処方する理由もコレステロールを低下する理由もない事を証明した。
- しかし医学雑誌はCORONA試験でスタチンに悪影響がなかったことを強調した。無益で費用がかかるのに!
- いわく「ロスバスタチンは安全だ!」「やはり処方すべし!」と・・・安全性の証明にすり替わってしまっている。
まとめ
臨床試験でいくらスタチンに否定的なDATAがでても、スタチン支持者は試験目的を無視してスタチン擁護に回ったようです。
もちろん製薬会社のお金が関連しています。
結論は脳卒中患者も糖尿病患者もスタチンで救うことはできません。
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