よく赤身肉を食べると大腸癌になる、加工肉は発癌性があるなどと言われています。でも世の中には肉ばっかり食べてきた種族もいますよね。
本当に赤身肉は大腸癌の危険因子なのでしょうか?この記事では赤身肉と大腸癌の関係について解説します。
赤身肉と赤肉の違いは?
赤肉(Red meat):牛・豚・羊肉などの肉のこと
赤身肉:肉の中で脂肪分が少ない部位
外国の研究は基本Red meatについて論じています。
一方・・・日本でいう赤肉とは赤身肉のことです。
と言うことは日本で一般的にいう赤身肉と欧米の赤肉ってまったく別の概念みたいです。
国立がん研究センター
国立がん研究センターのサイトでは「赤肉・加工肉のがんリスクについて」について解説しています。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2015/1029/index.html
このサイトの概略を記します。
- 国際がん研究組織(IARC)による発表を引用して解説している。
- 加工肉について「人に対して発がん性がある(Group1) (Group1とは充分な証拠があると言うことです)
- 赤肉についてはややトーンが下がって「おそらく人に対して発がん性がある(Group2A)(Group2とは限定的な証拠)
- しかしそのインパクトは喫煙、アルコール、大気汚染に比べるとかなり低い
- 日本はもともと赤肉摂取が世界で最も低い部類にはいる
- 国立がん研究センターのコホート研究では、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さい。
- ただし、欧米でも多いとされる量の摂取であればリスクを上げる可能性は高いと思われる。
- 日本人では赤肉・加工肉の摂取量は低いので大丈夫!飽和脂肪酸は心筋梗塞のリスクを高めるが、逆に少ないと脳卒中のリスクが高くなるので極端に制限する必要はない。
赤肉摂取と大腸癌発生のメカニズム
動物性脂肪の消化における二次胆汁酸、ヘム鉄による酸化作用、内因性ニトロソ化合物の腸内における生成、調理の過程で生成される焦げた部分に含まれるヘテロサイクリックアミン(発がん物質)等の作用。
これらの作用は、牛・豚肉といった赤肉に限らず、肉類全体の摂取を通してももたらされる共通のものとして捉えることができます
別の報告では赤身肉と加工肉は大腸癌のリスクを高めるとしてメカニズムは
- ヘム(赤身肉に多く含まれる赤い色素)
- 硝酸塩と亜硝酸塩(加工肉の鮮度維持・防腐目的で使用)
- 複素環式アミンと多環式アミン(肉を高温調理する際に生成される)
3種類の化学物質すべてが腸の細胞にダメージを与えている可能性があり、このダメージが長期間にわたり積み重なるとがんリスクが高まるとしている。
https://www.cancerit.jp/62583.html
影響の程度
20% すなわち10000人に40人が大腸癌と診断された場合赤身肉と加工肉を76g/日摂取した場合40人→48人になる。
他のリスク因子との比較
国際がん研究機関IARCの発表より
赤肉(この表は赤身肉と記載してますが、赤肉のこと)は相対危険率1.2倍程度となります。
飲酒や糖尿病のほうがよっぽど高いですね。喫煙も同程度です。
結論
赤肉摂取により1.2倍程度大腸がんの発がん率が上昇する。
それを大きいと取るか小さいと取るかはあなた次第