コレステロールの嘘に関する大きな事件として2007年に起きたEnhance事件というのがあります。この衝撃的な事件について簡単にまとめてみました。
コレステロールの嘘 Enhance事件とはなにか?
- 米国の巨大製薬会社であるメルクとシェリング・プラウは抗コレステロールの新薬を開発していた。
- 新薬は「バイトリン」。従来のスンバスタチン(スタチン系)と消化吸収を抑えるエゼチミブ(日本ではゼチーア)の合剤である。
- 肝臓でのコレステロール合成を抑えながら、食餌性のコレステロール吸収も抑える。
- なぜ合剤を開発したか?それはシンバスタチンの特許が切れてジェネリック医薬品が出てくるから。単純にお金の問題。
- 「バイトリン」の臨床試験(Enhance試験)は2年間で2006年4月に終了し9月に結果公表の予定だった。
- しかし結果報告予定より1年以上経ってもなんの報告もなかった・・
- 米国下院にせっつかれて2008年1月14日(予定より1年4ヶ月遅れ)についに結果を開示した。
驚愕の臨床試験結果
- バイトリンはスタチン単独と比較して20%強力にコレステロールを下げる
- しかし逆に動脈病変の症状をわずかに進行させる
- そもそもスタチン自体がコレステロールを30%低下させるにもかかわらず、動脈病変に対して効果がなかったことが判明!!
- 結果的に、いままでスタチンを飲んでいた世界中の何百万人もの患者は動脈や心臓に対する有効性がまったくない薬を飲まされていたことが判明した。
- その後も製薬会社寄りの大学教授らは今回の臨床試験結果に対する否定的見解を表明しスタチン擁護を続けている。
様々な意見
シーダーズ・サイナイ・メディカル・センター心臓病部長シャー教授
「Enhance試験の結果がわかった後でもまだ悪玉コレステロールの理論が受け入れられるであろうか?」
ラ・ホーヤ 心臓病理学者 トポル教授
「たんにコレステロール値を低下させれば患者の健康状態を向上させることができるという考えは、あまりにも単純な考えだ、いくらなんでも単純すぎる!」
ミシガン大学公衆衛生学 ヘイワード教授
「コレステロールを低下させることで梗塞や脳血管障害を予防しようという戦略はほぼ間違いだ」
国民の反応
- 米国ではメディアを中心に激しい論争が繰り広げられた。
- 一方著者のフランスでは無関心である。
- なぜか?米国では多額の医療費を多くのアメリカ人が支払っている。一方フランスでは(日本も同じ)医療費の個人負担が少ないためと考えられる。
- しかし税金として(日本では国民皆保険)支払っているから同じ事である。
まとめ
巨大製薬会社は各国の関連学会を金で支援することでスタチンを今でも擁護させている。
それに騙されてスタチンを処方しつづける医師は多い・・・・