2004年に「バイオックス事件」が勃発しました。
この記事ではバイオックス事件前後のコレステロールに対するスタチンの臨床試験についてまとめます。
バイオックス事件以前
4S試験(1994年)
- 心筋梗塞既往患者においてスタチンが約30%死亡率を下げる
- しかしこれはスポンサーである【メルク社】が試験のありとあらゆる所に介入していた!
HPS試験(2002年)
- コレステロール低下作用は4S試験より大きかったにもかかわらず13%の死亡率低下しか示せなかった。
- コレステロールが大きく低下すればするほどいいという学説からは残念な結果となる。
- この試験はメルク社の支店であるオックスフォード大学の臨床検査業務部門で行われた。
そしてバイオックス事件勃発(2004年)
- バイオックスはアスピリンを改良した薬剤
- 1999年にメルクがアメリカで販売開始
- 薬効がないばかりか心血管障害のリスクが4倍になると判明
- メルク社は臨床試験の段階で薬剤の危険性を把握していたがそれを隠蔽しようとした。
- バイオックスの被害者は15万から20万人 その半数が死亡
- 危険性についての疑惑が浮上して3年後の2004年メルク社はバイオックスを回収した。
- それまでに医師は事情を知らされなかったため数千万人から数億人の患者にバイオックスが処方され続けた。
- メルク社は2007年訴訟を取り下げるため50億ドルの和解金支払いに同意した。
Enhance事件(2007年)
- メルク社が発売したスタチンとコレステロール吸収阻害薬の合剤であるバイトリンに関する事件
詳細はこちらへ→コレステロールの嘘 Enhance事件とはなにか?
ゴーストライティング事件(2008年)
- 2008年米国医師会雑誌の記事から判明
- バイオックスに関する臨床試験結果の論文をメルク社の社員(ゴーストライター)が書いていた。
- それを権威ある大学の教授らに報酬を払って彼らの著作として発表していたことが判明。
- アメリカのFDAはまじめに臨床試験の報告を確認していなかった。
- しかしアメリカ以外の各国はFDAの見解を明らかに参考にしている。
まとめ
- バイオックス事件のあと、製薬企業や関連企業からの情報は入念な審査がなければ信頼されなくなった。
- バイオックス事件の前と後では臨床試験の結果が不一致となっている。
- 2005年以降に公表された試験ではすべてスタチンが無効となっている。