一般的に高LDLコレステロールは動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞の原因となると信じられています。
しかしLDLコレステロールが低い人でも心筋梗塞になってます。
この記事ではコレステロールが動脈硬化と関係するのかという点について参考となる三つの書籍内容から引用して考察します。
コレステロールの欺瞞:ワルター・ハルテンバッハ著より
- 動脈硬化巣は繊維細胞的な性質のものであり、コレステロールの沈着は最大で1%に過ぎない。
- コレステロールは動脈硬化や心筋梗塞の発症にまったく影響をおよぼさない。
- 動脈硬化症は病理的に血管壁が線維性、細胞増殖的な変化をした血管疾患であり、血管閉塞に至る恐れがある。しかしコレステロール沈着は1%程度に過ぎず、それは動脈硬化症の発症に何の役割も演じていない。
ワルター・ハルテンバッハ博士はドイツの心臓血管外科医です。著者は科学的根拠のあいまいなコレステロール悪玉論に対して敢然と挑戦し、とくにコレステロール低下薬は害こそあれ無意味である!と著書で憤慨しています。原本は2008年に発刊されています(日本語訳版は中日出版より平成23年に出版)。
コレステロール 嘘とプロパガンダ:ミッシェル・ド・ロルジュリル著より
- 心筋梗塞の原因は動脈内の血栓の形成である。
血栓は以下の三つの生物学的現象の結果である。
血小板の凝集:コレステロールは何の役割も果たさない
凝固系:コレステロールは凝固とトロンビンとフィブリンの形成において何の役割も果たさない。
線溶系:コレステロールはフィブリン溶解において何の役割も果たさない
粥状動脈硬化症について
粥状動脈硬化巣は主に二つの部分から構成されている
硬化部:コラーゲン繊維、エラスチン繊維と細胞から形成される一種の瘢痕組織で粥状動脈硬化巣の70%を占める。
コレステロールは硬化部において何の役割も果たしていない
粥腫部(atherome):脂質に富む柔らかい組織で動脈硬化巣の30%を占める。
病変が新しいときの粥腫の脂質成分はトリグリセリド、リン脂質、脂肪酸とコレステロールでありコレステロールは総脂質の30%を占めるだけである。
したがって、閉塞性粥状動脈硬化巣におけるコレステロールの割合は9%程度に過ぎない
著者のミッシェル・ド・ロルジュリル教授はフランス人で心臓専門医です。この本は主に製薬会社の欺瞞について詳しく記されています。
「代謝」がわかれば身体がわかる:大平万里 著
- LDLはその血中濃度や様々なきっかけによって、小型化して血管内皮に侵入してしまうことがある。
- 活性酸素や余剰の糖と反応し、変質したLDLとなり、その結果コレステロールを配達すべき細胞がわからなくなってしまって、血管内皮の常駐組になってしまう場合もある。
- そういった血管内皮に定着してしまった変質LDLは、やがてマクロファージなどの免疫系の細胞にまとめて捕食され、血管内皮が膨潤・糊化していわゆる動脈硬化となる。
- しかしLDLを暴走させるのは余剰の糖質や活性酸素などの外部要因でありLDL自体が原因ではない。
結論
LDLコレステロール自体が動脈硬化を引き起こすのではない
動脈硬化の原因は余剰の糖質や活性酸素である。
動脈硬化巣におけるコレステロールは1〜9%にすぎない